障害児(障がい児)のための音楽療法とピアノレッスン

アイキャッチ画像:両手でピアノを弾いている自閉スペクトラム症の男の子の後ろ姿

現在、障害児の発達や知能の向上、社会性の獲得などを、音楽やピアノレッスンを通じて行い受け入れてくれるお教室は、まだまだ少ないのが現状です。

また病院や福祉施設など以外で、気楽に音楽療法を受けられる場所も限られています。

お子さまの将来にとって少しでも有益なことを、と願う親御さんの選択肢はそんなに多くはありません。

音楽療法とピアノでお手伝いさせていただいています

福田音楽教室ピアノ講師,音楽療法士 - 福田りえ

こんにちは、福田音楽教室ピアノ講師、日本音楽療法学会の認定音楽療法士、福田りえです。

当ピアノ教室では音楽療法の個人セッションや、音楽と楽器、そしてピアノを通じて、障がい児教育のお手伝いをさせていただいています。

障がい児のための音楽療法・ピアノレッスンにご興味がございましたら、ぜひ目を通してくださいませ。

不安感の解消と希望の光に向けて

  • 我が子の未来に対する、決して小さくない、拭い切れない不安感
  • 早く何かを与えてあげたいのに、なかなか出会えないもどかしさ
  • このまま時間だけが過ぎていくのではないかという焦燥感

障害を抱えたお子様への親御さんの心配は尽きません。

また

  • もう少し表情が表に出てくれたら
  • ちょっとでもコミュニケーションがとれるようになれば
  • 音楽に触れることで、少しでも知育や発達の役に立てば
  • 余暇活動としてピアノを楽しんでくれたら

といった、お子様の将来に少しでも希望の光が差せばという親御さんの想いもまた尽きませんよね。

そんな親御さん方の想いに少しでもお応えできたらと、福田音楽教室では障害児への音楽療法、ピアノレッスンに取り組んでいます。

写真:レッスン室の黄色いカーペットの上に思い思いに座っている子どもたち

ひとりひとりの個性や特徴に合わせた音楽療法とピアノレッスン

ひと口に障害児への音楽療法、ピアノレッスンといっても、やはりその子の特質や特徴によっていろんなパターンがあります。音楽やピアノに対する向き不向きや、上達や成長スピードもひとりひとり違います。

音楽療法
音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること。

ピアノに触れるまで時間のかかる子もいれば、初回から積極的に音楽に触れようとする子もいます。みんな個性的でユニーク、唯一無二の存在なんですよね。

音楽療法、ピアノレッスンでも、その子の特徴や個性を見ながら、あるいは親御さん方とご相談させていただきながら、一歩一歩時間をかけながら楽しく進めています。

音楽療法・ピアノレッスンは個性の理解からスタートします

福田音楽教室での障害児に対する音楽療法ピアノレッスンでは、まずアセスメントからスタートします。

アセスメントというのは、その子の特徴や行為などをよく観察して記録し、行動を予測しながら指導方針を組み立てていき、またその結果をしっかり検証していくことです。まずその子のことをよく理解することからすべてがスタートするんですね。

その後、音楽療法と、楽器・ピアノレッスンなど音楽学習のバランスをみながら、レッスンやセッションの組立を行っていきます。

レッスンやセッションで使う楽器

使用する楽器も、ボンゴ、太鼓、タンバリン、マラカス、トライアングル、鈴、笛など、ピアノ以外もたくさんの楽器や音の出るアイテムを使って楽しく行なっています。(ボンゴや太鼓は大人気です!)

レッスンやセッション用のカードや教材

また楽器以外にも、カードや教材、ぬり絵、ワークブック、それにiPadアプリなども取り入れています。

音楽療法・ピアノレッスンではこんな効果や変化が期待できます

音楽療法の個人セッションを通じて以下のような効果を期待することができます

  • ものごとへの理解力や判断力を養うことが期待できます
  • 表現力を養うことで意思や感情を示せるようになる可能性があります
  • 客観的視点で改善点を見出すことができます
  • 音楽を通したゲームで法則性を身につけることが期待できます
  • さまざまな楽器に触れることで感覚統合が期待できます
  • いろんな音に対して許容範囲を広げることができる可能性があります
  • 楽しく歌うことで発音や発声が向上することが期待できます
  • 他の生徒さんとの関わりからコミュニケーションを学ぶ機会があります

またピアノや音楽、楽器を使ったレッスンでは、次のような効果も期待することができます。

  • ピアノを弾くことで座位が長い時間保てるようになることが期待できます
  • 音符や楽譜に接することで順序立てた思考を獲得できる可能性があります
  • いろんな楽器を使うことで身体能力を向上させることが期待できます
  • 演奏できることで自信がつき、能動的な行動につながる可能性があります
  • 音符の長さを理解することで数字の理解にもつながることが期待できます
  • 好きな曲が弾けるようになることで心の充足感や満足感につながります
  • 神経の集まっている指先を使うことで脳への適度な刺激を期待できます

もちろん音楽療法・ピアノレッスンの効果や変化には個人差はありますが、多少の差はあっても良い効果や兆しが現れることが一般的です。

これまでの実績の一部をご覧ください

福田音楽教室での音楽療法・ピアノレッスンの実績の一部です(保護者のご了解を得て公開させていただいています)。

視覚障害 - とも君のケース

動画:ヘレン・ケラー記念音楽コンクール

とも君は第62回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールで奨励賞を頂きました。その受賞翌日の喜びのコメントと演奏です。

[00:51/1.95MB]

お母様から頂いたメール

まさか、まさか、賞状を貰えるとは思ってもなく。びっくりしました。しかも、それ以上に審査員「和波孝禧(ワナミタカヨシ)」先生に名前を出されて講評されるとは……。

和波先生は、よくコンクールの審査員をされているようで、ヘレンケラー音楽コンクールは、毎年とても楽しみにしているとのことでした。なぜかと言うと、演奏を聞いていて何度も胸にグッとくるからだそうです。

自分の弾いている音をちゃんと聞いているから、それを聞いている観客の人にも伝わってくると。そんな感じの話でした。

「たった30秒というなかで森に行って狩りをするイメージがピアノから伝わった。上手に弾く人は たくさんいるけれど自分の音を聞いている人は少ない。」

と、プロの人とYの演奏を比べて話をされて、(上手い下手ではなく)Yの方が心に響く……。

すごく有り難い話をして頂いたんですが、今までのYの練習の姿を見てると、申し訳なく感じたりして少し複雑な心境です。

それだけ、Yがあの30秒間に森や狩りを思い浮かべてピアノに向き合ったということなんでしょうか? それが、今回の結果に伝わったんですかね?

でも今日は、素直に喜びます。母にも電話で報告しましたが、電話口の向こうで(嬉しくて)泣いていました。

いい結果が出たのも先生のお陰です。本当にありがとうございました。

※スマホやタブレットでは、指で上下にスワイプするとスクロールします。

自閉症 - Tくんのケース

動画:日本クラシック音楽コンクール

Tくんは第22回日本クラシック音楽コンクール神奈川本選出場を果たしました。

[01:41/3.83MB]

お母様から頂いた声

画像:自閉症Tくんのお母様から頂いた手書きの手紙

※スマホやタブレットでは、指で上下にスワイプするとスクロールします。

全盲 - ハルちゃんのケース

全盲の小学3年生ハルちゃんの、2回目のレッスンの最初の演奏と、それから30分後の演奏をご覧ください。

2回目のレッスン:開始時の演奏

[00:58/2.21MB]

2回目のレッスン:30分後の演奏

[00:50/1.9MB]

以前別のピアノ教室で習っていたハルちゃんですが、最初の演奏ではともてたどたどしく、恐る恐る鍵盤を探している状態でした。しかしその30分後の演奏では、たどたどしさは大きく改善されています。

自閉症 - Oくんのケース

Oくんが当ピアノ教室に入会したのが平成23年(2011年)の6月。直前の田中ビネー知能検査の結果では「知能指数(IQ):66」でした。

▼平成23年5月18日の検査結果

画像:自閉症Oくんの平成23年5月18日の田中ビネー知能検査の結果 - 知能指数(IQ)66

それからわずか1年半後の検査結果では「知能指数(IQ):94」と大きく向上しており、ここまで短期間でこれだけの知能指数(IQ)の向上が見られるのは一般的に稀だとされています。

▼平成24年12月19日の検査結果

画像:自閉症Oくんの平成24年12月19日の田中ビネー知能検査の結果 - 知能指数(IQ)94

お母様から頂いた声

画像:自閉症Oくんのお母様から頂いた手書きの手紙

これはもちろん当ピアノ教室での音楽療法だけではなく、様々な療育への親御さんとご本人の取り組みの賜物だと思われます。

2番染色体異常 - Yさんのケース

お母様から頂いた声

画像:2番染色体異常Yさんのお母様から頂いた手書きの手紙

これまでの音楽療法への取り組み

音楽療法およびピアノレッスンだけではなく、心理カウンセリングなども併用しながら、より良い成果につなげていきます。

主な資格

  • 日本音楽療法学会認定 音楽療法士 登録番号【第1973号】
  • 日本音楽療法学会、日本音楽療法学会関東支部 各学会員
  • 日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー 認定番号【10-508205】

これまで音楽療法やピアノレッスンでお手伝いさせていただいたケース

  • 広汎性発達障害
  • 自閉症スペクトラム
  • 自閉症
  • アスペルガー症候群
  • ADHD 注意欠陥・多動性障害
  • LD 学習障害
  • 言葉遅れ
  • 知的障害
  • 場面緘黙症
  • 発達性協調運動障害
  • ウォーカーダウン症候群
  • プラダウィリー症候群
  • 染色体異常による障害
  • 筋ジストロフィー
  • 脳性麻痺
  • 視覚障害
  • ダウン症

※グレーゾーンのケースはもっと多いと思われます。

音楽療法のグループセッションもイベント開催しています

2011年春、音楽療法研究所「ラポールハート」を立ちあげ、同年5月8日、横浜ラポールにて「音楽療法ミュージックセラピー体験会」を開催しました。

写真:音楽療法ミュージックセラピー体験会の様子

ほかにも

  • 横浜市保土ヶ谷区の知的障害者施設「のばら園」にて音楽療法士として3年間活動
  • 渋谷区身障者センターで音楽療法の外部講師を2年間担当
  • 音楽療法のための書籍『心ふれあう セッション ネタ帳 For Kids』(音楽之友社/2015年9月11日発売)に寄稿
  • 月刊誌『ムジカノーヴァ』(音楽之友社)にて、2017年1月号より「障がいを持つ子どものためのピアノレッスン」を連載
  • 初の単著『できた!を明日の自信へ 気になる子へのピアノレッスン:事例でわかるグレーゾーン・障がい児指導』(音楽之友社/2018年5月11日発売)を出版

など大学時代から音楽療法の研鑽を積み、さまざまな機会に音楽療法活動を行なってきております。

レッスンの大まかな概要と流れ

体験レッスンの後の、大まかな流れをご紹介いたします。

アセスメント期間

ご入会後しばらくは、さまざまなことを試しながらその子の特徴を把握するための、アセスメント期間となります。

ご家族の方とよく話し合いながら、障がいの度合いや特徴に合わせたレッスン内容を策定していきます。

この期間がどれくらい続くかは、それぞれの子によって幅があります。

レッスンセッション

策定したプログラムに応じて、レッスンセッションを行っていきます。

発語が弱ければ発語から、書く力が弱ければ書くことから開始するなどし、音楽に触れる取り組みも同時におこなっていきます。

音楽療法やピアノ・音楽のレッスンに留まらず、療育的な側面も加味して進めていきます。

そのほか

基本は個人レッスンですが、前後の生徒さんたちとの接触があることを予めご了承ください

また他者へあいさつや共感など社会性を育むためにも、他の生徒さんと触れ合ったり、一緒に音楽を楽しむ機会も折を見て作っています。

障害児(障がい児)への音楽療法とピアノレッスン:料金体系

対象年齢

3歳~小学校低学年の幼児や児童

体験レッスン

無料(15分~30分 1回のみ)

入会金

6,000円

レッスンセッション(初級)

月3回 30分 10,000円 (1セッション:3,500円)

セッション&レッスン場所

横浜市緑区西八朔町 福田音楽教室

セッション&レッスン曜日

ご相談の上決めさせていただきます

  • ※お子さまによって月3回のレッスンが難しい場合は、月1回や月2回のレッスンへと調整することも可能です。
  • ※中級以上(コンクール等参加レベル)は、その都度、ご相談させていただきながら進めます。
  • ※中~重度のADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合、お受けできないこともございます。
写真:ピアノ教室レッスン室の様子

音楽を通じてみんなで得られる大きな喜びがあります

福田音楽教室では定期的にピアノ発表会を行なっています。

発表会では障害があるお子さんも、そうでないお子さんも、ステージを分けずに共に同じ舞台に立ち、ピアノを弾いたり、太鼓を叩いたり、歌って踊って音楽を通して自己表現を楽しんでいただいています。

またその子の発育や演奏レベル、親御さんと本人の同意のもと、コンクールや演奏会などにも参加させていただき、集団での行動を体験し、社会との繋がりやソーシャルスキルを学ぶ機会も積極的に作っています。

写真:ピアノ発表会の様子

最初は想像もできないかもしれませんが「まさかうちの子がステージに上がって人前で発表するようになるなんて……。」と驚かれると同時に、喜びの声を頂くことも多いです。

音楽療法やピアノレッスン、そして幅広い音楽活動を通じて、社会や人との強い絆(きずな)を育んでいます。

よく頂くご質問をまとめてみました

どんな障害でも音楽療法、ピアノレッスンは可能でしょうか?
中~重度のADHD(注意欠陥・多動性障害)のケースはお受けできないこともございますが、基本的にはどんな障害でも音楽療法やピアノレッスンをお受けしています。
自宅や施設での出張音楽療法、ピアノレッスンは可能でしょうか?
残念ながら、ご自宅や施設へ出向いての出張音楽療法やピアノレッスンは承っておりません。すべて当ピアノ教室内での音楽療法セッション、ピアノレッスンになりますので、予めご了承くださいませ。
大人でも音楽療法、ピアノレッスンは可能でしょうか?
現在は3歳~小学校低学年の幼児や児童の音楽療法やピアノレッスンに絞って募集させて頂いてておりますので、大人の方の音楽療法・ピアノレッスンは承っておりません。
音楽に興味のない子でも大丈夫でしょうか?
多少なりとも音楽に興味や関心があったほうが効果が得られやすくなりますが、セッションやピアノレッスンを進めていく過程で、興味や関心が芽生えてくることも十分考えられると思いますので、一度体験レッスンをお受けになられてはいかがでしょうか。
療育手帳は持って行った方がいいでしょうか?
あればアセスメントや音楽療法、ピアノレッスンを行なっていく上での参考になりますので、ご持参頂ければと思います。
レッスンの30分間保たないかもしれませんが、大丈夫でしょうか?
その子の特徴に応じて時間は調整できますので、あまり気にされなくても大丈夫です。
どれくらいで効果が出てきますか?
個々によって違いが大きいので一概には言えませんが、やはり長く続けていくことによって発達が促される面があります。焦らずに時間をかけて、そしてあきらめずに、気長に取り組んでいくことが大切だと考えます。
私の地域にも同様の教室や先生がいらっしゃいますか?
当教室以外のことや他の地域のことに関しましては、はっきりしたことは申し上げられません。また代行して探すことは現実的に難しいことを、あらかじめご了承ください。

お読みいただきありがとうございました。

音楽療法のセラピーセッションにしてもピアノレッスンにしても、音楽には人に喜びと希望、安らぎと癒しを与える不思議なチカラがあるようです。そんな音楽の力を借りて、ほんの少しでもみなさまのお役に立てればと思います。

個性溢れる子どもたち、そして親御さん方にお会いできるのをとっても楽しみにしております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

福田音楽教室 ピアノ講師 音楽療法士
福田りえ